10年、20年先をデザインする人

3/20 に「DESIGN ANTHOLOGY Kazuo Kawasaki」を発売する川崎和男氏が、3/10 に発売記念のイベント「KAZUO KAWASAKI ANTHOLOGY:Super Live feat. TOMOYASU HIRANO」がスパイラルホールで開催された。当日は、第一部が "solo"、第二部が "jam" の二部構成で行われた。
スパイラルホールに行くのは、数十年ぶり。チケットには座席指定がなかったのでオールスタンディングなのかな、と思っていたが自由席であった。
開演時間を少し過ぎて川崎和男氏が登場。そしてバックのスクリーンに BGM と合わせて川崎氏の輝かしいヒストリーが映像とリンクしながら流れ、第一部の "solo" が始まる。
まず、川崎氏は、自分の作品集を出したいと考えていたが躊躇していたという。ただ、MACPOWER での15年の付き合いと連載などで作品集とこの発売記念イベントが実現したという。
四捨五入で100歳になるというジョークを交えながら、大学在学中に「メビウスの輪」に出会ったこと。「ケーニヒスベルクの橋」の一筆書きのことが頭から離れなかったこと。「ひも理論」などを説明した。
また、4つの

  1. 強い相互作用(S)
  2. 弱い相互作用(W)
  3. 電磁力学(EM)
  4. 重力(G)

が存在すると話、川崎氏はデザインの強い相互作用で生涯 "Euler" を追い求めていくと思うと述べた。
また、東芝に入社しての仕事は「Aurex」のブランドを作ること。電通などのコンペだったそうだ。神宮にブルーの文字のロゴをデザインしたが、残念ながら帝国ホテルでの発表会には出なかった。それからも、3年間デザインしたコンデンサーなどを作っていたエピソードを披露。結局、東芝に在籍していたのは 1975〜1985年の十年間だった。
その後、28歳に故郷福井に戻り、デザインを続けたが職人の人たちと言葉が通じなかったので、スケッチを何百枚も書いたこともあったという。
その後も20世紀に「THE CLOCK」の称号を受けた「HOLA」、1m × 1m × 2m の空間の中にデザインしたイス「Swing Chair」、THE BEATLES の版権を採って作ったオルゴール「ORGEL」、母の対して毎年デザインしている一輪挿しの花瓶「赤い植物図鑑」、4つのボタンに拘った「Remote Comander」など次から次と話が出てくる。
「ORGEL」をそろそろ製品化しようと考えていると述べ、その時に僕は、10年、20年先をデザインすることしか出来ないのではないかと言っていたのが印象的であった。時代がやっと川崎氏に追いついたということを言っているのだろう。
また、世には出なかったが Apple から依頼された「Popeye」「Mind Top」など斬新なデザインを多くしていたことを明かした。
最後にある時、グッドデザインに異様な集団が現れたという。それが、これから(第二部)プレゼンテーションメソッドの話をしてくれる平野友康氏らの集団だったことを明かし、第一部を終了した。
当日、「DESIGN ANTHOLOGY Kazuo Kawasaki」の先行予約発売があり、特別価格で購入出来た。